母の遺品を整理していて、最後まで手をつけられなかったのが押し入れの上段でした。普段ほとんど使わない場所だったため、何が入っているのかも家族はよく分かっていませんでした。踏み台を使って箱を下ろしてみると、中には封筒が何十通も入った古い紙袋がありました。
差出人を見ると、母の姉妹や昔から付き合いのあった友人の名前が並んでいます。年代もかなり古く、母が若かった頃の手紙まで残っていました。何気なく一通を開くと、私が知らなかった昔の出来事が書かれていて、しばらく読みふけってしまいました。
ただ、全部の手紙を読むわけにもいきません。封筒の中には住所や電話番号などが書かれているものもあり、処分するとしても、そのまま古紙として出していいのか迷いました。兄は「大事な物だけ残して、あとは整理しよう」と言いましたが、母が誰からどんな手紙をもらっていたのかを考えると、なかなか判断できませんでした。
そこで、一度すべてを床に並べるのではなく、差出人や年代ごとに紙袋へ分けることにしました。母が特に親しくしていた人からの手紙は別にし、年賀状だけのまとまりも作りました。何年も前の住所録も見つかり、そこには現在では連絡先が分からない人の名前もありました。
整理している途中で、母が若い頃に書いた手紙も見つかりました。自分自身に宛てたものではありませんでしたが、文章から当時の生活が少し伝わってきました。写真とは違い、文字にはその人の話し方や癖が残るものだと感じ、残す物を決めるのがさらに難しくなりました。
家族だけで進めていたものの、手紙以外にも衣類や家具、食器などが残っており、片付けにはまだ時間が必要でした。作業の進め方について話していたとき、親戚から香川で遺品整理の事ならリアライフ香川へという情報を聞き、専門業者に相談する場合の選択肢について調べることにしました。大切な手紙を先に取り分けておけば、他の荷物については整理の方針を決めやすくなると思ったからです。
最終的に、手紙は母が特に大切にしていたものを中心に残すことにしました。すべてを保管することはできませんでしたが、何通かを手元に置いておくと、母がどんな人たちと関わりながら人生を過ごしてきたのかが少し見えてきます。遺品整理では、物の数を減らすことだけを考えるのではなく、その物に残された記録や意味を確認してから判断することも大切なのだと感じました。

